Blizzard社がリリースしたデジタルカードゲーム”HearthStone”はリリース後わずか3年で、7000万アカウントを記録し、そのゲームシステムは後進のゲームにも多大な影響を与えている。
今回は、HearthStoneがなぜ流行ったかを少し考えていきたいと思う。
1.流行の要因
HearthStoneがこれ程までに広まった要因として、次の3つの考えられる。
- オンラインで気軽に対戦が可能
- インターネット上でのコミュニティができやすい
- デジタルだからできる特徴的なゲームシステム
それぞれ、詳しく解説していこうと思う。
1-1.オンラインで気軽に対戦が可能
これは、どのデジタルカードゲーム(以下DCG)においても最大の利点ではないだろうか。
一般的にカードゲームは1vs1で遊ぶものが多く、対戦相手が必要となる。
周りに対戦相手のいるプレイヤーはいいが、そうではない人は興味があっても相手がいないため、手を出しづらかったり、特定の人ばかり遊ぶので飽きてしまったり、また、カード資産の差などで一方的な勝負となってしまうことがある。
しかしながら、オンライン対戦ではこのような問題を一掃することができる。
なにせプレイヤーはいつでも同じプレイングスキルを持つ世界中のプレイヤーと遊ぶことができる。
これがデジタルが持つ最大の利点にして、最強の力だといえるのではないだろうか。
1-2.インターネット上でのコミュニティができやすい
ゲームにハマっていくと今度は一緒にゲームを楽しめる相手が欲しくなる。
DCGはこの点も解決してくれる。
PCを使ってプレイするので容易にゲーム配信ができるのである。
自身で配信したり、他に配信している人のところに行きコメントするなど
同じゲームで遊ぶ人たちの交流が非常に容易である。
また、そういったコミュニティはゲームを知らない人が興味を持つきっかけにもなるし、プロのプレイングやデッキを学び、全体のレベルを上げることにもつながる。
このように、活発なコミュニティがさらにゲームを発展させるのである。
1-3.デジタルだからできる特徴的なゲームシステム
これまでに挙げた要因はHearthStoneを含むDCG全般に言えることだった。
確かにDCGは上に挙げたような利点を享受することができるが、多くの人が遊びたくなるようなゲーム自身の面白さ、すなわちゲームシステムも重要だ。
みなさんはHearthStoneを最も面白くしているシステムは何だと思うだろうか。
ランダム要素、ヒーローカードやヒーローパワー、ファティーグ、ハイランダーや奇数偶数デッキ等、HearthStoneにはデジタルならではの特徴的システムが多々あるが、
根本的なシステムは他のカードゲームと比較して、とてもシンプルであることに気づいているだろうか。
相手のターンには動けないし、ややこしいフェーズやタイミングといった要素もない。基本的な勝ち筋はミニオンをボードに出して相手の体力を削り切ることである。
そう考えるとき、Hearthstoneの面白さの源泉は、ボードの取り合いにあるのではないかと思える。
そして、ボードの取り合いを成り立たせているシステムは何かと考えると、“ダメージを負ったミニオンが自動で回復しない”という点ではないだろうか。
他のカードゲームだと、クリーチャーの勝負は単純にパワー比べだったり、体力はあっても、1ターンで元の値に戻ったりする。
これは、クリーチャーのパワーが1でも違えば、それが絶対的な差であることを意味する。
一方で、HearthStoneでは、たとえ相手ミニオンを上から叩けたとしても、ダメージを負っているので返しに相手の軽いミニオンで簡単に取られたりする。
そこでプレイヤーは自身のハンドを考慮して、いかに有利トレードをするかまたは、ボードを諦めて相手の顔面を詰めるのかに脳漿を絞るのである。
この仕組みこそがボードの取り合いをより深いものにし、HearthStoneの面白さの根幹を支えている。
そして、この面白さは初期デッキを使っていても十分わかりやすいので新規プレイヤーにもHearthStoneの魅力が伝わるのである。
2.最後に
HearthstoneはDCGの先駆けとして、デジタルで何ができるのかを常に追求し、
DCGというコンテンツに多くの貢献をしてきた。
今日までのHearthStoneの盛り上がりを見てもそれは窺える。
一方で最近では不満の声が多く挙がっているいるようにも感じる。
次回の投稿ではこの不満の原因について少し考えてみたいと思う。